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探索4日目

懐中時計を手の甲に固定し、媒体となる素材をそっと押し込む。
途端にそれは塵と化し、宙に浮いたエネルギーは対象に吸い込まれた。
一見何の変化も無いが、確実にその力は武具に宿っていた。


これは「ヒースクリフ」の者であれば、大小の差はあれ、血脈的に持っている力だった。
「もの」がもっているエネルギーを、武具などに込める力。
生命を持ったものには使えないのだが、とりわけ戦場では役に立った。
量産品の質の悪い武具でも、その辺りにあるものをとりあえずこめてやれば、多少はマシ
になるのだ。
見た目で分からぬ上に魔術などでもないため、それを研究しようという輩が後を絶たなか
った。いやな目に会うことも度々だったと、長は言っていた。

中には不気味だというものも居たが、この力を見込んでの依頼も少なくはなかった。
ただの戦人の里、というわけではないのだ。
しかし……

まさかここでは、そんな技術を持った輩がゴロゴロしてるとは思わなかった。
何かの時に役立つかと思っていたのだが、考えを改めなければならなかった。

尤も、そのパワーソースは魔法であったりで、流石に「ヒースクリフ」と同じという輩は
いないようだった。
ほっとしたような、寂涼感のような、そんな感覚を覚えたがすぐに胸にしまった。



我々の―――いや、私が最後の一人なのだからその言い方は違うが―――ちからは、対象
の因果律や時を前後させる。
たとえば枯れ枝であれば、生い茂っていた頃の記憶を思い起こさせ、その記憶を対象に混
める。
目には見えない力だ。
Valkoinen Kuolema に繋がるものの力だ。

この島ではさして目立つ力ではないものの、面倒が起こらないことを願うより無かった。
付加(ここではそう呼ばれている)のことではない。それを行うパワーソースだ。
とりわけ、二番隊の面々はそれに近いものが集まっていた。

呪術を扱うジャンニ。
強固な呪いにかかったイグニス。

どういう偶然なのだろうか。看破されないうちに早くこの冒険を終わらせたい。
Valkoinen Kuolema が来る前に。
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